蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】




墓は護国寺にあり、池袋までは有楽町線で一本だ。

・・・このところ、慧と出かけることは少ない。

土日にスーパーに買い物に行ったりはしているが、バタバタしていたせいか、遠出することは減ってしまった。

たまには二人でこういったイベントに行ってみるのもいいかもしれない。


「そだね。じゃあ行ってみようか?」

「やった!」


慧はその美しい瞳を輝かせ、嬉しそうに笑った。

・・・その、少年のような純粋な笑顔。

いつ見ても、この笑顔に勝てる気はしない。

絢乃は少し笑い、ロールケーキ博覧会のパンフに視線を落とした。


< 361 / 438 >

この作品をシェア

pagetop