蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「さっきの説明時、自動倉庫には近寄るなと言ったはずだが。聞いてなかったのか?」
「・・・っ」
「それとも自動倉庫システムを身をもって体験しようとでも思ったか? ・・・それならあのコンベアの上の段ボールに入れ。いつ出てこれるか分からないがな?」
クッと唇の端で嗤い、雅人は言う。
・・・その眼鏡の奥のブリザードのような瞳。
絢乃は頭を下げ、ひたすら謝った。
「・・・すっ、すみませんっ・・・」
「俺はお前を自動倉庫に格納するつもりで連れてきたわけじゃない。お前もそのくらいはわかっていると思っていたがな」
痛烈な皮肉に、絢乃は内心でひぃぃぃと青ざめた。
雅人は普段、怒っても皮肉を言うことは少ない。
雅人がここまで言うということは、相当怒っているのだろう。
絢乃は何度もぺこぺこと頭を下げた。
「すみませんっ、もうしませんっっ、以後気を付けますっっ・・・」
・・・と、ひたすら頭を下げる絢乃を。
他の部員達が唖然と見つめていたことに、絢乃自身は全く気付いていなかった・・・。