蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
2.白夜と極夜
19:00。
ナンダタウンを出た二人は、池袋駅方面に続く地下道を歩いていた。
・・・あれから、ひたすらロールケーキを食べ続けて・・・
なんか数年分のロールケーキを食べた気がする。
でも食べたロールケーキはどれもとても美味しかった。
通路の先には、地上へと続くエスカレーターが見える。
10月も下旬になると、この時間はもう真っ暗だ。
今日はこれから、池袋で夕飯を食べて帰ることになった。
繁華街よりは、池袋駅近くの店の方が落ち着いて食事ができるかもしれない。
と思いながら、絢乃はエスカレーターに乗った。
今日はミドルヒールのパンプスを履いているため、降りるときに気を付けなければならない。
と、エスカレーターから下りようとした、その時。
ぱきっという音とともに、絢乃の体ががくっと傾いた。
と同時に、右足の足首がズキッと痛む。
後ろにいた慧が、驚いたように声を上げた。
「どうしたの、アヤ!?」