蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
3.想像もできないこと
・・・15分後。
絢乃はベッドの上に横たわっていた。
ごろごろと何度も寝返りを打つが・・・。
・・・はっきり言って、ヒマだ。
雑誌でも見ようか・・・。
確か、リビングに雑誌が置いてあったはず。
リビングまでは歩数にして10歩ほどだ。
行けない距離ではない。
絢乃はそっと起き上り、足音を立てないように注意しながら一歩、また一歩とリビングの方へと歩いて行った。
慧はキッチンで包丁を片手に何やら作業している。
このまま静かに行けば慧には気づかれないだろう。
と雑誌に手を伸ばした、その時。
くるり、と慧が振り返った。
・・・なんという間の悪さ。
やばっ、と慌てた絢乃の視線の先で、慧がカッと目を見開く。
「お前・・・っ!」