蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】



翌日。

絢乃は会社に行こうといつもの時間に起床したが、念のため病院に行こうと慧に言われ、結局有給を取ることにした。

もう痛みは引いているので大丈夫だと絢乃は主張したが、慧は頑として譲らなかった。

絢乃は会社携帯から雅人と春美に休む旨をメールで伝え、慧とともに病院に向かった。

幸い、レントゲンの結果も特に問題なく、『数日間は走ったりしないでくださいね』との言葉とともに帰された。




午後。

リビングのソファに腰かけ、テレビを見ていた絢乃のもとに、一本のメールが入った。


『具合はどうだ? 病院には行ったのか?』


雅人からだ。

朝に送ったメールで『病院に行く』と書いたため、心配してくれたらしい。

・・・この一週間、あまり話せてなかったので、ちょっと嬉しい。

どうやら自分は部下としてまだ見捨てられてはいないらしい。

絢乃は手早く返事を打ち、送信した。


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