蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
<side.雅人>
13:45。
雅人は第一開発課の自席で、物流システムの基本設計書の内容を確認していた。
会計基準変更の影響がどの程度になるのかを確かめるためだ。
まだ改訂の内容がはっきり決まったわけではないが、恐らくそれなりの規模の改訂になるだろう。
場合によっては、プロジェクトチームを立ち上げる必要があるかもしれない。
・・・と、その時。
ピピッという音とともに会社の携帯にメールが入った。
絢乃からだ。
『検査の結果、特に問題ありませんでした。明日から出社する予定です』
雅人はほっと肩を下ろした。
足首を捻ったと言っていたが、とりあえず大丈夫らしい。
雅人はパタンと携帯を閉じ、ふっと目を伏せた。