蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「でも北條さんにしてみれば、あんたは兵士のようなものかもね。教育担当だったせいかもしれないけど・・・」
「そうなんですかねー・・・」
「北條さんは責任感強いから、一度面倒を見た部下は見捨てられないんじゃないかな。たとえ課が別でもね?」
春美の言葉に、絢乃は小さく頷いた。
確かに、なんとなくそんな気はする。
絢乃自身が兵士になりたいと思っているかどうかは別として・・・
・・・助けてもらったのは事実だ。
後で、お礼とお詫びのメールを入れておこう。
絢乃は箸を手に取り、鍋の皿を手に取った。
と、そのとき。
「・・・あぁ、いたいた。自動倉庫に格納され損なった秋月先輩」
「・・・・」
物凄く失礼な言葉とともに、純也が姿を現した。
相変わらずの黒スーツに、相変わらずの陰鬱な雰囲気。
・・・しかし純也が社食に来るのは珍しい。
驚き、顔を上げた絢乃の顔を見、純也は口を開いた。