蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
絢乃はあんぐりと口を開けた。
・・・なんか今、とんでもない単語を聞いたような気がする。
唖然とする絢乃に、慧はにこっと笑って続ける。
「ノロでもロタでもいいんだけど。簡単に培養できるのかな?」
「・・・って、ナニ考えてんの、慧兄!?」
絢乃はあたふたと慧を見上げた。
・・・恐らく冗談なのだろうが、さすがにそれはちょっと・・・。
慧は戸惑う絢乃をしばし見つめた後、楽しげにくすくすと笑った。
「冗談だよ。・・・しかし、お弁当ね。まさかあいつがそんなこと言うなんてね」
「?」
「『女の作った弁当なんぞ、何が入ってるかわからん。気持ち悪くてとても食えん』とか言ってた奴の言葉とはとても思えないね」
慧は笑いながら言う。
絢乃はぽかんと兄を見た。
・・・確かに、女嫌いの卓海であれば、そういうことを平気で言いそうな気もする。
であればなぜ、卓海は絢乃に弁当を作れなどと言ったのだろうか。