蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・まさか、一生懸命作った弁当を、目の前で『こんなもの食えるか!』とひっくり返すとか? そのためにわざわざ作らせるとか?」
「・・・なんか昼ドラチックだね、アヤ・・・」
「それとも精魂込めて作った弁当を目の前で犬に食わせるとか?」
「・・・イヤ、さすがのあいつもそこまでは・・・」
と慧は言うが、あの男は人の想像のつかない世界で生きている。
弁当を作って行っても、その弁当で何をするのかはわからない。
・・・とは思うが、どうせ作るのであればきっちりと作りたい。
絢乃はエプロンの紐をきゅっと締め、まな板と包丁をシンクの下から取り出した。