蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「普通じゃねぇとは思っていたが、まさかこんな裏があったとはな・・・」
「・・・加納さん?」
「ありえねえよ。・・・お前も、慧もな」
卓海は黒い笑みを浮かべ、目を細めて絢乃を見る。
───その、性悪な魔笑。
けれどその瞳が、辛く切なそうに見えるのは・・・どうしてだろうか。
無言で卓海を見つめる絢乃に、卓海は冷たい口調で言う。
「この年になって実の兄妹でもない奴らが一緒に住むなんて、どうかしてるとしか思えねぇよ」
「・・・っ!」
「お前ら、気は確かか? ・・・それとももう、そういう関係なのか?」
卓海は嘲笑うように言う。
その悪意に満ちた態度に、絢乃は目を見開いた。
・・・卓海が何を言いたいのかはわからない。
だが卓海が、自分たちを非難しているのはわかる。
例え実の兄妹でなくても、自分と慧はずっと兄妹同然として育ってきた。
その絆を非難される筋合いなどない。
絢乃はカッとし、口を開いた。