蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・っ、秋月・・・」
雅人は息を飲み、くいいるように絢乃を見つめる。
その透き通った氷のように美しい瞳が、切なげに歪められる。
・・・至近距離で香る、クールなグリーンノートの香り。
絢乃は気恥ずかしくなり、俯いた。
その瞬間。
雅人の手が、絢乃の頬に触れた。
はっと息を飲んだ絢乃の頬を両手で包み、ぐいと上向かせる。
「・・・・っ!」
───唇に、柔らかい感触。
絢乃は呆然と目を見開いた。
・・・至近距離にある、雅人の端整な顔。
長い睫毛、すっと通った鼻筋・・・。
まさか・・・。
頭が真っ白になる。
絢乃は茫洋としたまま、雅人の唇を受けていた。
・・・少しひんやりとした、柔らかい唇。
それは絢乃の唇に、羽のように何度も優しく触れた。
やがて唇がそっと外され、絢乃はぐいと抱き寄せられた。
逞しく、均等に筋肉がついた広い胸板。