蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
しかし雅人がこれから生きていくのは、普通の世界ではない。
であればせめて、傍には心から信頼できる、愛する人がいた方がいいと思うのだが・・・。
心配そうに見る春美の前で、雅人は少し笑った。
・・・何かを諦めたような、諦観が漂うその笑顔。
「・・・悪いが、もう俺の進むべき道は決まっている」
「・・・北條さん・・・」
「だが・・・ありがとう、杉沢。失礼する」
雅人は言い、休憩スペースを出て行く。
その背を、春美は何とも言えない思いで見つめていた。