蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
翌日の金曜日。
絢乃は重い足取りで家を出た。
・・・さすがに二日連続で休むわけにはいかない。
それに、いつまでも避けて通れるものでもない。
あれから、卓海からも雅人からも何も連絡はない。
そのことに、ちょっとホッとしている自分がいる。
一時間後。
絢乃はいつものように運用課の部屋に入った。
向かいに座っていた春美が、はっと顔を上げる。
「あ、絢乃・・・」
「・・・」
「・・・」
なんとなく気まずい。
しかし雅人とのことは、絢乃自身にもよくわかっていない。
思わず視線を逸らしてしまった絢乃に、春美は慌てた様子で言う。
「絢乃、今日の夕方、1Fのカフェでお茶しない? たまには、さ?」
「・・・春美先輩・・・」
春美の言葉に、絢乃は軽く頷いた。
ここで話すより、カフェにでも行った方がゆっくり話せるだろう。
といっても、何を話せばいいのかイマイチよくわからないのだが・・・。
絢乃は春美の気遣いに感謝しながら、自席に座った。