蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
8.運命の分かれ道
───19:00。
絢乃はぼうっとしたまま、宮崎平の改札を出た。
春美の話は絢乃に大きな衝撃を与えた。
・・・北條さんが辞める、なんて・・・
しかも、結婚って・・・。
しかしそれならなおさら、あのキスの意味がわからない。
と、唇を噛みしめた、その時。
ブルルッと携帯が鳴り、メールが届いた。
・・・卓海からだ。
『明日、13:00に宮崎平の駅に来い』
簡潔なメールだ。
しかし。
「・・・・っ・・・」
一週間前までは、卓海から命令されても『またか』という感じで言われたことをこなしていた。
江の島に行ったのも、正直、楽しかった。
・・・けれど、今は・・・。
どうすればいいのか、わからない。
絢乃はしばしメールを見つめた後、息をつき、パタンと携帯を閉じた。