蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
───19:15。
マンションに戻った絢乃は、中に明りがついていないことに気が付いた。
どうやら慧は外出中らしい。
となると、今日は自分が夕飯を作らなければならない。
正直、あまり食欲はないが・・・
でも何か体に入れないと、体力が持たないだろう。
絢乃は冷蔵庫を開け、食材を取り出した。
と、そのとき。
ガチャっという音とともに、玄関のドアが開いた。
どうやら慧が帰ってきたらしい。
おかえり、と言いながら玄関を振り返った絢乃だったが・・・。
慧はひどく苦しげな様子で、手にしていた鞄を玄関に置いた。
その顔は熱で赤く染まり、意識が朦朧としているのか、目元を片手で押さえている。
・・・明らかに様子が変だ。
絢乃は慌てて駆け寄った。
「ちょっと、どうしたの、慧兄!?」
「・・・」