蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
22:00。
「37℃、か・・・」
絢乃は慧の枕元で体温計を確認し、ケースにしまった。
だいぶ熱は下がってきたらしい。
慧は今、薬のせいか穏やかな寝息をたてている。
このまま朝まで熱が下がればよいが・・・。
絢乃は慧のベッドの横に腰を下ろし、膝を抱えた。
膝に額を押し付け、じっと目を瞑る。
───どうすれば、いいんだろう。
卓海のことも、雅人のことも、慧のことも・・・
全てが突然で、どうすればいいのかわからない。
自分は一体、どうしたいのか・・・
どうするべきなのか・・・
考えれば考えるほど、袋小路に迷い込んでいく。
絢乃は大きなため息をつき、ぐっと手を拳に握りしめた。