蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
絢乃は卓海と少し話した後、ぺこりと一礼し、会議室を出た。
その後ろに、純也も続く。
純也は廊下に出たところで、何やら考えながらぼそっと言った。
「・・・秋月先輩は、加納さんと仲がいいんですか?」
「え?」
突然の言葉に、絢乃は首を傾げた。
純也がこういうことを聞いてくるのは珍しい。
「仲が良い・・・ってほどでもないよ。加納さんと私の兄が知り合いだから、たまに話すくらいで・・・」
と言った絢乃に。
純也は歩きながら、小さな声で再びぼそっと言った。
「そうですか。・・・秋月先輩、気を付けてくださいね?」
「・・・は?」
「忠告はしましたからね」
戸惑う絢乃に、純也はそう言い捨ててすたすたと歩いていく。
・・・気を付けて、って・・・。
相変わらずのマイペースぶりに呆れつつも、・・・何かが気になる。