蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「どしたの、慧兄?」
「お前がOJT受けてた時も、その名前聞いたけど。・・・なんか、引っかかるというか・・・」
慧はうーんと首をひねりながら言う。
・・・よくわからない。
慧はしばし首をひねった後、諦めたように絢乃を見た。
「ま、いっか。・・・で、アヤ。今日は何かやる?」
「何かって・・・FFは終わっちゃったし、バイオはなんだか難しいし・・・」
「特にないなら、ちょっとテレビを借りていいかな? 評価の仕事がひとつ入ってさ~」
と言った慧が片手に持っているのは・・・
何やら赤いものが描かれた、オドロオドロしいDVDのパッケージだ。
そのタイトルは・・・・
「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』。・・・知ってる? アヤ」
「・・・イヤ、知らない・・・」
絢乃はぶんぶんと首を振った。
・・・まるで聞いたことがない。
慧はデッキにDVDをセットし、ぷちっと電源を入れた。
「簡単に言うと、アメリカで殺人トマトが発生して、見境なしに人を殺していくという話だよ」
「・・・は?」