蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
───3日後の午後。
絢乃はビクビクしながら、設計書を片手に第一開発課のドアをくぐった。
・・・今日は設計書の提出期限だ。
本来であれば午前中にと言われていたが、午前は会議やら何やらで不在だったため、提出することができなかった。
見ると、雅人は自席ではなく壁際に置かれたパソコンで、何やら物凄い勢いでキーボードを叩いている。
どうやら、物流システムのプログラムを修正しているようだ。
「・・・」
雅人は普段、自分でプログラムを修正することはまずない。
マネジメントが主な仕事だからだ。
けれど物流システムの基幹部分のプログラムは、セキュリティのこともあり、雅人しか触れられないようになっている。
つまり雅人がプログラムを修正しているということは、システムの基幹に関わる重要な部分をいじっているということになる。
───見ると。
そんな雅人の姿を、周りの課員達がチラチラと覗き見ている。
普段めったに見ることのない雅人の姿に、課員達は興味深々のようだ。