蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
───30分後。
絢乃はセミナー会場の控室で、紙袋に入っていた服を相手に悪戦苦闘していた。
プルーとホワイトの縦ストライプの衣装は、グランツ・ジャパンのイメージカラーを再現した、いわゆるイベントコンパニオンの衣装だ。
普段、こういったセミナーでは総務のアルバイトの子達が案内係・説明係としてこの衣装で参加するのだが・・・。
「・・・うぅ、恥ずかしい・・・」
ふと、部屋の隅の方を見ると。
香織が同じ衣装を既に身に着け、鏡の前で念入りにメイクの確認をしている。
メリハリがついた、色っぽい香織の体に比べて、自分の体はごくフツーの標準体型だ。
・・・こんな服、似合うはずがない。
けれどここまで来たら、もう腹をくくるしかない。
絢乃は衣装に着替え、恐る恐る控室を出た。
と、その時。
「・・・こんな感じでどうですか、加納さん?」
「あぁ、よく似合ってるよ。さすが香織ちゃんだね」