蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
「・・・・!」
「髪は下ろした方がいいよ。せっかく綺麗な髪なんだからさ?」
卓海は絢乃のヘアゴムを片手に、にこりと笑った。
・・・その、鮮やかな二重の瞳。
絢乃は思わずドキッとし、視線を逸らした。
なんだかとても恥ずかしい。
卓海はそんな絢乃の肩をポンと叩き、言った。
「じゃあ、そろそろ戦場に行こうか。今日の敵は手強いからね?」
「・・・」
「あ、そだ。後で写真撮らせて? 絢乃ちゃんのこんな格好、めったに拝めないからね~。ついでだからアイツにも送っちゃおうかな?」
「・・・それだけはやめてください、加納さん・・・」
絢乃はがくりと脱力した。
そんな絢乃の肩を、卓海が笑いながらぐいと会場の方へと向ける。
・・・もうこうなったら、やるしかない。
絢乃はぐっと拳を握りしめ、卓海の後に続いて歩き出した。