蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
どうやらこのサラリーマンは、絢乃を技術者として認めてくれたらしい。
絢乃は嬉しくなり、先ほどまでとは違う明るい表情で説明を始めた。
───やがて。
そんな二人の会話を聞いた周りのサラリーマン達が、一人、また一人と周りに集まり始める。
「・・・すみません。この機能の、この項目は・・・」
「・・・であればその場合、L/Cデータは会計とどう連動するのでしょうか? 例えば・・・」
───10分後。
絢乃はパンフを手にしたサラリーマン達に取り囲まれていた。
技術的な質問に答えられるのは絢乃だけだったらしく、サラリーマン達から矢継ぎ早に質問が寄せられる。
・・・なんだか想定外の事態になってしまった。
絢乃は冷や汗を浮かべながら、投げかけられる質問に必死に答えていた・・・。