蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
雅人自身は、今の第一開発課の雰囲気が普通だとは思っていない。
雅人の言うことをただ忠実に実行するだけの課員たち。
恐らく今の第一開発課に必要なのは、絢乃のように確固たる自分の意見を持ち、主張することができる人員だろう。
絢乃と仕事をすればするほど、その思いは増していく。
・・・同じ技術者として、後輩として・・・
二人といない、大切な存在。
「・・・」
これが他の部下であれば、理解するまで考えさせるのだが・・・
今回の場合は、恐らくそれではまずいだろう。
絢乃は理解したうえで、ここまで食い下がってきたのだ。
かといって、どうすべきか・・・。
雅人はしばし考えた後、ゆっくりと椅子から立ち上がった。