蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
2.先輩と後輩
20:30。
絢乃は休憩スペースの椅子に座り、ぼーっと窓の外を眺めていた。
・・・なんだか、全てが燃え尽きてしまった感じだ。
「・・・」
雅人の言っていることは、絢乃も理解している。
雅人の立場であれば、そう考えるであろうということも。
けれど・・・。
絢乃ははぁと息をついた。
・・・自分はまだ、考え方が子供なのかもしれない。
第一の課員のように、雅人の指示のままこなしていくのが、部下としての正しい姿なのだろう。
でも・・・どうしても、納得がいかない。
「うーん・・・」
月曜に、もう一度検証してみようか・・・。
雅人の言った方法を、実際にテスト系で全て試してみよう。
・・・雅人の技術者としてのキャリアは、自分より5年も長い。
自分が見落としている部分があるのかもしれない・・・。
絢乃は無理やりそう自分に言い聞かせながら、ぐっと両手を握りしめた。
・・・と、その時。