蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
確か、雅人は横浜に住んでいると聞いたことがある。
であれば、確かに川崎は通る。
けれど・・・。
戸惑う絢乃に、雅人はくすりと笑って言った。
「・・・心配するな。送るだけだ」
その、絢乃をからかうような大人の笑み。
・・・どこか色気を感じる、その微笑み。
普段は『鬼軍曹』と呼ばれているだけあって、仕事中は色気などカケラも感じたことはないのだが・・・。
こんなシチュエーションでこんな表情を見せられると、思わずドキッとしてしまう。
けれどもう時間が時間なので、送ってもらえるのはありがたい。
絢乃は少し頬を染め、こくりと頷いた。