蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】




確か、雅人は横浜に住んでいると聞いたことがある。

であれば、確かに川崎は通る。

けれど・・・。

戸惑う絢乃に、雅人はくすりと笑って言った。


「・・・心配するな。送るだけだ」


その、絢乃をからかうような大人の笑み。

・・・どこか色気を感じる、その微笑み。

普段は『鬼軍曹』と呼ばれているだけあって、仕事中は色気などカケラも感じたことはないのだが・・・。

こんなシチュエーションでこんな表情を見せられると、思わずドキッとしてしまう。

けれどもう時間が時間なので、送ってもらえるのはありがたい。

絢乃は少し頬を染め、こくりと頷いた。



< 94 / 438 >

この作品をシェア

pagetop