蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
<side.卓海>
20:40。
卓海は椅子から立ち上がり、大きく伸びをした。
既に課員は全員帰り、残っているのは自分だけだ。
卓海は係長が提出してきた、貿易システムの仕様変更設計書をチェックしていた。
日中外出していたため、今日中にやるべき作業が溜まっている。
・・・正直なところ、明日でも別にいいのだが、それを一度でも許してしまうとなし崩しになってしまう。
卓海はふぅと息をつき、窓の外を見た。
その時。
「・・・ん?」
見覚えのある二人が、駐車場の方へと歩いていく。
卓海は目を見開いた。
あれは・・・。
「・・・軍曹と、絢乃?」