蜜愛シンドローム ~ 陥溺の罠 ~【完】
その珍しい取り合わせに、卓海は思わず呟いた。
・・・なぜ二人が駐車場にいるのか。
訝しむ卓海の視線の先で、二人は同じ車に乗り込んだ。
遠目ではよく見えないが、その高級な感じといい、大きさといい・・・明らかに社用車ではない。
恐らく雅人の車だろう。
「・・・」
胸の中に、むくりと得体のしれない感情が湧き上がる。
しかし・・・。
・・・これは、いいものを見たかもしれない。
卓海は唇の端でくすりと笑い、車道へと出て行く黒い車を窓越しにじっと眺めていた・・・。