恋愛温度(番外編も完結しました)
ペンションには電話をしてキャンセルした。

考えてみれば、心のどこかで、

和司が探し出してくれることを、期待していたのかもしれない。

私はこのありがたい申し出を受けることにした。

甘い思いを捨てて、

自分を見つめ直していくのに、

大切な時間になるかもしれないと思ったから。

「知り合いには断りをお入れました。

 よろしくお願いします。


 でも、あの、見ず知らずの私をこんなふうに受け入れて、

 大丈夫ですか?」


「長く生きているとね。

 どんな人か、どんなふうに生きてきたか

 不思議とわかるようになるものよ。

 あなたはとっても真面目な、

 大切に育てられた娘さんでしょ?」


クスクス笑いながら、

私の頭を撫ぜた。




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