恋愛温度(番外編も完結しました)
廿六木 阿紗子 (とどろきあさこ)

そう名乗った彼女は、

終始笑顔を湛えて

旦那さんが残した様々なものを、

てきぱきと片付けていた。

別荘は古い洋館で、

暖炉のあるリビングが、ご主人のお気に入りだったらしい。

いろんなものが積み上がって、

まるで宝探しみたいだった。

えっちな雑誌が出てきた時なんて、

高校生みたいにはしゃいで、二人で読んで笑い転げた。

でも、

時々ぼんやりと宙を見つめて、

考え込んでいる時の阿紗子さんは、

たくさんの思い出を整理しながら、

片付けた分、心に刻んでいるようだった。




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