恋愛温度(番外編も完結しました)
その日は、

朝から引取り業者や不動産が来て、

大騒ぎだった。


ひと段落したらお礼を言って失礼しようと、

玄関の脚立に座って荷物を抱えていた。


昨日もらった温度計は

プチプチ梱包材に包んであるものの、

壊れてしまいそうで、大切に抱えて持った。


「結花ちゃん。向こう着いたら電話するから、

 携帯番号変えないでね?

 あたし、メ-ルとか無理だから。」


「はい。私も連絡ほしいです。待ってます。」


「もう大丈夫よね?」


「は、はい、心配してくれてありがとうございます。」


「あの時は放っておけないくらい、思いつめた顔してたもの。」


温かい人。

私も年を重ねたらこんな風になれるだろうか。







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