恋愛温度(番外編も完結しました)
もう、

コ ワ サ ナ イ デ


「あははは…」


傷は思いのほか深くて、

溢れ出す血液の赤と透明な液体と混じって

うす紅色のシミを服の上に残しながら

地面へと流れていく。

嘘と真実が混じり合って

紡ぎ出された和司の言葉のようだな


壊れてしまった私の心に留まることはない…



「何やってるんだよ。

 それ離せ、血を止めないと!」


「あはは…粉々。

 これは私だわ、

 壊れてしまえば中身は地面に吸い込まれて

 存在すら無くなってしまうような

 残ったのは何も使い道のない残骸。

 もう捨てるしかないわね。」


「結花!!」


「捨てていいのよ。

 砕けてしまったのよ。

 こんなの、もういらないでしょ。」


和司はあたしの止まらない血液を、

ハンカチで止血しながら、


「やめて結花、やめて。

 ごめん結花。謝るから…やめて」



泣いていた。











< 149 / 311 >

この作品をシェア

pagetop