恋愛温度(番外編も完結しました)
和司の縋るような目、どうしたらあたしがその気になるかなんて

お見通しのくせに…

大きなため息をついてから、

「ボ-ルペンどこだっけな?」

バッグを探るあたしの前に、

すかさず差し出された、万年筆。

「これで書いて。俺と同じペンで。」

その日結局、届けにサインをした。

そして区役所にも二人で提出に行った。

一晩かけたあたしの決意など

どこかに葬り去られてしまっていた。


「おめでとうございます。」

区役所の職員に見守られ、私たちは、すべてのことを

いとも簡単に成し遂げてしまった。

「苗字は同じになるんでいいの?それとも別姓を選ぶ?」

そこまでこだわる必然性を感じない。


「どっちでもいいよ。」

「そっかあ、じゃあ、やっぱ俺の苗字だね!

 皆川結花っ何か可愛いよね~」

和司に振りまくってるしっぽが見える。

まあ、私もやっぱり嬉しい。





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