恋愛温度(番外編も完結しました)
フロントに連絡して、バスルームを開けたとき、

息が止まった。

服のままシャワーを浴びながら

真っ赤なバスタブに片手を入れたまま

意識を失っている和司が目に入ったからだ。

バスタブが赤く染まっているのは

和司の手首から流れる血液だ。

「うあっあっ…」

「奥さんしっかりしてください!まだ、心臓は動いています。

 救急車呼びますから、

 大丈夫です。助かりますよ!」

ホテルのスタッフは、和司の止血をしてシーツにくるんで、

座り込んで何もできない私に声をかけながら、

救急車に一緒に乗り、病院まで付き添いながら、

大丈夫だからとずっと声をかけてくれた。

目の前の事実が信じられない私は、涙も声も出なかった。


和司狡いよこんな状態であたしを置いていくの?








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