恋愛温度(番外編も完結しました)
目が覚めた時には病院のベッドにいて、


心配そうな母の顔がそこにあった。


何があったのか、大人にいろいろ聞かれたが、

4歳児の話は何を言ってるか理解はされなかった。


ただ、


「あの人はあなたのママじゃない、ママは私よ。」


と言われた。


と伝えた時。


ママは

「何言ってるのかしら?」

と一笑にしたが、

パパと白い服着た人と、

警察の人が変な顔をしたのが、


子供心に何か意味があることなのだと思った。



しかし4歳の俺の記憶には大して残されなかった。



ただ、時折、

あの白い部屋とベッタリと絡みつく視線と、

囁く声、そして最後に見た赤く染まっていくあの人のことを

夢に見た。



夢を見たあと必ず泣き止まない俺を


冷ややかな目で見る母が

たまらなく嫌いだった。


もしかしたら母も何か感じていたのかもしれない。
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