恋愛温度(番外編も完結しました)
「そして、再びお前の家族を巻き込んだ。
俺の親父の気休めの謝罪が…」
和司はつぶやくように言った。
小学生の頃だったか、父と母の言い合いを度々聞くようになった。
「何故受け取ったの?」
「彼にも、子供にも謝罪の義務はないのに、
こうして気にかけてくれてる、ありがたいじゃあないか。
もう、いい加減にするんだ、
どうやったって俺たちの息子は戻らない。
前を向いて生きるしかないだろう。」
毎年事故のきっかけになった子の父親があの日になると、
香典のように多額のお金をもって訪れた。
そしてその度、
事故から何年経とうと、母はそうやって弟のことを蒸し返す。
物心ついた時から、眉間にシワの入った母しか記憶にない。
母の心は歪んだフレームのようにこの世のものは映らない。
私がここにいても、
あの時2歳だった私が、何歳になろうと、
母の愛情はいつもこの世にいない弟のものだった。
俺の親父の気休めの謝罪が…」
和司はつぶやくように言った。
小学生の頃だったか、父と母の言い合いを度々聞くようになった。
「何故受け取ったの?」
「彼にも、子供にも謝罪の義務はないのに、
こうして気にかけてくれてる、ありがたいじゃあないか。
もう、いい加減にするんだ、
どうやったって俺たちの息子は戻らない。
前を向いて生きるしかないだろう。」
毎年事故のきっかけになった子の父親があの日になると、
香典のように多額のお金をもって訪れた。
そしてその度、
事故から何年経とうと、母はそうやって弟のことを蒸し返す。
物心ついた時から、眉間にシワの入った母しか記憶にない。
母の心は歪んだフレームのようにこの世のものは映らない。
私がここにいても、
あの時2歳だった私が、何歳になろうと、
母の愛情はいつもこの世にいない弟のものだった。