恋愛温度(番外編も完結しました)
俺はさ、母親の顔色を伺って、いつもいい子でいようって

そういう子だった。

母は誘拐事件あたりから、

手放しで俺が可愛がれなくなっていたんだ。

でも、それを父に悟られないように必死でつくろっていた。

あの夫婦は、お互いを愛していながらも、

俺という存在のせいで

壁があった。

それが、俺自身も感じてた。

そしていつも自由に憧れてた。

時々思う、あの時逃げ出さず、母親のもとにいたら、

どんな人生だったんだろうかって

いつの間にか演じることがうまくなった。

自分を殺して

ヘラヘラと笑う、親にも教師にも、友人にも

俺は常に最適な人間を演じ分けた。

息苦しくなると、君に会いに行った。

君の登校や下校時間を狙って。

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