恋愛温度(番外編も完結しました)
会いたかった結花がそこにいる。

空港に立っていた結花を見たとき、

全てが走馬灯のように蘇った。

俺の指先から今まで握りしめていた色々な思いが、

こぼれ落ちていくような感覚に戸惑った。

何もいらなかった。

そこに結花が立っている。

それだけで、

理由も意味も何にも。

「結花!」

そう言葉に出したとたん

止まっていた世界が動き出した。

「おかえり和司。もう、なんて顔してるのよ。」

結花の笑い顔が、俺のすべてを包む。

結花を中心に世界が色付いてくる。


「ただいま。」

この言葉を言うために、

俺は生きてきたのかもしれない。


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