恋愛温度(番外編も完結しました)
「お待たせ、和司。

 達也とはもうないから、

 心配しなくていいよ。」


「うん。」


そのまま和司はギュうっと私を抱きしめた。


和司の背中越しに向こうの席の達也と目があった。


達也が浮かべた優しい、さみしそうな表情が

ちょっぴり胸を掴まれたけど、


その達也の口が、「よかったな」って動いたように見えた。


分かれた道が、実は割と近くを並んで走ってて、

そして再び交わり、重なり、一本の道になったりする。

人とのつながりなんてそんなことって多いかもしれない。

達也は、もしかしたらそれを望んでいたのかな?


けど、


今度こそ本当に別れ。

私たちの道は、もう二度と交わることも、

重なることもないだろう。



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