もう一度…愛すよ…
そんな二人を遠くの部屋から咲は見ていた。
手に持っているお菓子を握り潰し、爪を手のひらに食い込ませ、唇を噛み締めて美和を見ていた。
「あんな女、消えればいいのに…」
そんな咲の言葉を聞いていない振りをしながら、付き人は砕けたお菓子を掃除していた。
父親からいきなり結婚と言われ、全くの知らない男の為に、国を出た咲。
でも、咲は一目見て、幸春に恋をした。
この人なら一緒に居たい。心からそう思い、妻になってから1年…この城に別の女がやってきた。
幸春の見た事もない笑顔。
幸せそうに笑う顔を初めて咲は見た。
自分は捨てられた。
ただの飾りだけの妻、正室。
美和が城にきてからずっと幸春と咲は夜を共にしていない。
今頃、幸春と美和は…
そんな妄想で毎日泣きながら寝ていた。