もう一度…愛すよ…
今夜も美和は、幸春の隣で眠る。
けど、ただ隣で眠るだけ。
「少しだけ…」
遠慮がちに幸春は、美和の布団へ手を伸ばし、ぎゅっと手を繋いだ。
その手を離す事なく美和は目を閉じたまま。
こうして眠れるだけで幸春は幸せだった。
初めて美和と体を重ねた時、涙を見て苦しかったから。
いつか美和が受け入れてくれるまで待つと決めた…
いつまでも待つよ。
ゆっくりでいいから、思っている人を忘れなくていいから…
幸春はゆっく好きになってくれたらそれでいいと思っていた。
幸春の優しいさが苦しい美和…
わかっている…
幸春の妻なのだから、妻として幸春を受け入れなくてはいけない現実を…
でも、どうしてもりつを忘れられない。
こんなに苦しいなら、産まれてきたくなかった…
こんなに苦しいなら、りつに出逢いたくなかった…
りつに出逢わなかったら、幸春を愛せたかな…
幸春に悟られないように、静かに涙を流した。