もう一度…愛すよ…
お美和にはここへくる前、仲の良い彼がいた。
名前は、『りつ』
気づいた時から一緒にいて、一緒に育ち、毎日顔を合わせていた。
おはようと挨拶をして、おやすみと言って別れる。
そんな幸せな時間は、りょうが16歳
りつが17歳までだった。
突然りょうに城へ行くよう命令があったから。
殿の完全なる一目惚れだったのだ。
それは、誰からも羨ましいと思われる美しい顔、そして上品さ。
けして裕福ではなく、着ている物も食べている物も、城の生活しか知らない殿にとっては未知なる貧相な暮らしの女に、目を奪われた。
「あの女を側におきたい」
そしてりょうの両親は、城からいくらかの金と引き換えにりょうを手放した。
りつとはもう会えない悲しみ、殿の妻にならなくてはいけない悲しみ、りょうの気持ちを知っていながらも城へりょうを手放したという捨てられた複雑な気持ち…