もう一度…愛すよ…
城へと旅立つ前夜、りょうとりつは川辺で会っていた。
両親に内緒でこっそりと家を出て、ひっそりと待ち合わせをした。
川にゆらゆらと映る月を見ながら、お互いに黙ったまま…
りょうはりつが何を考えているのか知りたくて、りつもりょうが何を考えているのか知りたかった。
二人がさよならをするのはこのゆらゆらと映る月が少し離れたところに止まっている船と重なった時
すでにそんな時刻は迫っていた。
先に言葉を発したのはりつだった。
「りょう、僕は君が好きだったよ」
優しい声で、蝉の鳴き声に消えてしまいそうな小さな声。
だけど、ちゃんとりつの言葉はりょうに届いていてその証拠に頬はどんどんと赤くそまっていく。
りょうもりつを男性として物凄く大好きだったから。
両親にもわかってしまうくらい、りつと会う時は目が輝いていたから。
何度気持ちを伝えたかったか…
いつかりつのお嫁さんになるなんて勝手に想像をして、いつかりつの子供を授かるなんて勝手に想像して…
でも、きっとりつはただの妹の様にしか思ってないとずっとそう思っていたから。
こんな日に、明日の朝さよならをするのにとても苦しくなった。
できるなら聞きたくなかった。
妹としてさよならをしたかったのに。
でも、りつからの言葉は嬉しすぎた。