もう一度…愛すよ…
「りつ…」
やっと絞り出した声をりつはちゃんと聞いてくれた。
「りょうが好きだったよ。ずっと幼い頃から」
優しい目で見つめてくれるりつは、りょうの涙を拭った。
「私もずっとりつが好きでした。」
ポロポロ涙を流しながらも一生懸命、今までずっと言いたかったこの言葉をりつに伝えた。
「もう帰る時間だな」
「…うん」
まだ帰りたくない。時間なんて止まってしまえばいいのに。明日なんて来なければいいのに。
何度そう思っても、月は少しづつ船と重なって行く。
止まらない涙を一生懸命止めようと思っても流れ続ける。
声をあげて泣きたいのに、一生懸命我慢をしているりょうをりつはぎゅっと抱きしめた。
「りょう、きっと必ず幸せになれるから」
名一杯首を横に振り、りつじゃないと嫌と言いたくなった。
「帰ろう。また明日」
りつに迷惑をかけたくなく、仕方なく立ち上がった。
りょうが家に入って行くのをしっかり見届け、隣の家へと入るりつは、やっと涙を流す事が出来た。