もう一度…愛すよ…
りょうが好きだ。
誰にも渡したくない。
もっと早く素直に好きと伝えればよかったと…りょうもりつを好きだなんて知らなかった。
ただの兄の様な存在だと思っていたから。
りょうは明日にはいなくなり、城へ入りもう会えなくなる。
あの殿様の息子にりょうを取られ、そしていつか体を重ね子供が産まれる。
とんでもない想像をしてしまい、どんどん溢れてくる涙は止まらずそのまま朝を迎えた。
男の癖に、泣き尽くした顔は腫れ上がり、とてもじゃないけどりょうに会える顔じゃなくなっていた。
最後だから会いたい。
もうきっと会えないから。
誰かの物になってしまう前にもう一度抱きしめたい。
誰かに触られる前に俺が、りょうの全ても欲しかった。
外が賑やかになり、りょうにお迎えが来た事がわかったがりつは家から出れなかかった。
きっとりょうをさらってしまう。
りょうに迷惑だ。
一生懸命我慢をして、時が過ぎるのをじっとへやの隅で待った。
「りょうちゃん綺麗ねー。」
母親の声…
「とっても素敵ねー。」
近所のひとの声…
耳を塞ぎ、また涙が出て来た。