もう一度…愛すよ…


「いってらっしゃい」

りょうの母親の鳴き声で、りつは家から出た。


最後にりょうを見たのは籠の中で姿は見えなかった。

どんな装いでどんな顔で…

りょうをちゃんと見送る事ができなくて、寂しく家へと戻った。

肩が震え唇を噛み締める姿をりつの両親もりょうの両親も何も言えず黙ってりつを見ていた。


りょうが大好きだった。
そしてりょうもりつが大好きだった。


そんな事実だけが残り、二人は叶わぬ恋を終わらした。


そして、りょうの名前が消え『お美和様』と城で呼ばれている事は、りつもりょうの両親も誰も知らなかった。


今日もりょうは城で幸せに暮らしていると誰も願っていた。


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