夏の日差しと狼のいろ。


微笑んだ次の瞬間ツキはくしゃみをした。

そういえば雨が降っていたからびしょ濡れだった。



傷口も雨に濡れ、鈍く痛む。



「これからどうするんだ」



ウルーが心配そうに聞く。

ツキも正直、わからなかった。



このままココにいても凍死か、餓死してしまうだろう。



でも向こうの町まで行くのには、3日間はかかる。



今の怪我では到底、無理そうだった。


ツキはそれを考えると不安でしょうがなかった。


ちら、とウルーのほうを見て聞いてみた。



「…ウルーさんはどうする…の?」


するとウルーは小さく「ウルーでいい。」と言った。

ツキは少しの間きょとんとしていたがはっとして頷いた。



それを確認すると、「俺はここの砂漠で、ずっと長い間暮らしている。大事なこの場所を守ってるんだ」




そう言って銀色の尻尾をふさりと動かした。


その尻尾をぼんやり目でおい、やがてツキは再びうつむいた。
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