夏の日差しと狼のいろ。
(それじゃあ私、また一人だ…)
そう思うと目に涙がこみあげてきた。
ウルーが、「その足で町までいけるか?」と不安げに聞いてきた。
ツキは乱暴に目元をぬぐうと、「大丈夫」と短く答え、立ち上がった。
しかしその足は痛みと恐怖で震えていた。
その様子を見たウルーはしばらく何か考えてやがてコチラを向きなおった。
「ココに、住むか」
唐突にそんなことを言った。
ウルーの言葉にツキは驚いて顔をあげた。
ウルーは苦笑いしていた。
しばらく意味が理解できず静止していたがやがてウルーと目をあわせた。
その目は優しげだった。
ツキの目に再び涙がこみあげた。
そしてツキはぶんぶんと頷いた。
その頭をウルーが優しく撫でてくれた。
ツキにははじめての優しさだった。
―こうしてツキとウルーの
暮らしが始まった―