夏の日差しと狼のいろ。
はじめのウチはそんな話ばかりだった。
そして今―
今日突然ふと気になったことをウルーに聞いてみた。
「あの…ウルーは、」
そこで一瞬ためらい、止まる。
ウルーが不思議そうに見てくる。
「ウルーは、狼、なの?」
そう聞くと、ウルーの動きが一瞬とまった。
(やば…変なこと聞いた?)
ツキが不安に思いはじめたころ、
「あぁ…ハーフ、だけどな」
ウルーが答えを返した。
「ハーフっ…?私と、同じ?」
ツキが言うと、「少し違う」とウルーが言った。
「ちがうの?」
ツキは言葉の意味がわからず聞き返した。
するとウルーは一瞬躊躇い、ツキから目をそらした。
「教えてほしいな」
ツキが繰り返し言うと
「ツキは、狼になれないだろ」
向こうを向いたままウルーが答えた。
「…!」
確かに頭には獣の耳はあるのにツキは狼の姿にはなれなかった。
ハーフだと普通はなれないものなんだと、そう思っていた。