夏の日差しと狼のいろ。
「もう行くの?」
ツキの言葉を聞くなり、
シルクは驚いたように声をあげた。
心配してくれているのだろう。
しかしツキは頷くと
しっかりとシルクの瞳を見据え、
言った。
「明日…明日にしようと思うの」
ツキが決心をこめたように言うと
シルクが頷く。
「そうね…明日は雨も降らないわ。
比較的安全かもしれないわ」
シルクはソファから立ち上がると
ツキの顔を見た。
ツキも同じように
シルクの顔を見る。
それは長い間見慣れた、
大切な存在だ。
ツキはシルクとお別れをすると
思うたびに、
胸が痛くなる。
ツキは明日、
泣いてしまうかもしれない。
でも心の中 では
泣かないで笑うと決めた。
しばらくするとシルクは
顔を背け、
キッチンへ向かった。
「アンタたちも準備してきなさい」
そう言い捨てたシルクの背中も
やっぱり寂しそうだったー…