夏の日差しと狼のいろ。


 ツキが警戒して見ていると、
 金髪はもう一度こっちを見て


 やがて屋根に着地した。



 …屋根!?




 まさかまさかの屋根のうえだった。


 金髪はジャンプだけで
 屋根にまで
 飛び立ったらしい。




 ツキは降ろされるとすぐ
 勢いよく口を開いた。




 「なんなのいきなり!」


 ツキの威勢に
 金髪はきょとんとしたのち
 頭をかいた。


 「驚かせて悪ィな。俺はイクア。
  あのゴンドラの持ち主の弟子」


 …弟子?


 ツキは一瞬ぽかんとしたが
 すぐに顔を引き締め、
 一応自己紹介をする 。



 「私はツキ。それよりあの子」


 ツキがいいかけると
 イクアがしぃっと言って
 人差し指をツキの唇にあてた。



 「悪ィけど、俺はなんもしらねーのッ
  弟子だからな?」


 ニィッと無邪気に笑うと
 イクアはどかっと座りこむ。



 ツキもそおっと
 座り込んだ。


 「さっきはナイフなんか突き付けて
 悪ィ
 師匠の教えとはいえ
 可愛いレディに
 ナイフなんかつきつけてさ?」



 イクアは申し訳なさそうに
 ツキに手を差し出す。



 「ホントにびっくりした」


 ツキは恐る恐るイクアの手をとる。




 「仲直りの握手だぜー!
  友達友達ッ!ははっ」



 イクアはテンション高く
 ツキの手をぶんぶん振り回した。
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